同期の桜巨人の谷が木村コーチに勝利をささげる大きな涙の一発「逆転満塁ホームラン」始球式は長男がストライク

巨7−4広 巨人が同期である谷の逆転満塁本塁打で4連勝
 絶対に負けられない。試合前から異様な緊張感がグラウンドを支配していた。



 「とにかく自分のピッチングができるようにするだけです」と先発のマウンドに向かった西村。しかし力強い言葉とは裏腹に、一回からいきなり苦しんだ。先頭の東出に左翼左への二塁打を浴び、一死後天谷に左越え適時二塁打を許した。



 だが味方打線がすぐに援護した。



 「マツ松本)がチャンスをつくってくれたので応えたかった。当たりは良くなかったけれど、いいところにころがってくれた」



 三回一死から松本が中前打で出塁。二盗、暴投で三塁に進むと小笠原が一、二塁間をしぶとく破って同点にした。



 「インパクト瞬間に入ったと思った完ぺきな当たりでした。でも打球の飛んだ方向はわからなかったけどね」



 一塁ベンチでにやりと笑ったのはキャプテンの阿部だ。同点で迎えた六回、左翼席に3号ソロ。4日の広島戦(広島)以来、15試合ぶりの一発。始球式では、木村拓コーチ長男、恒希君(10)の投げ込んだど真ん中のストライクをがっちり受け止めた。肩を抱き「よくやった」と元気づけ、頭をなでた。木村拓コーチや家族を思う気持ちが、打球に乗り移った。



 4万6673人の観衆が埋め尽くした東京ドーム。木村拓コーチに勝利をささげるべく、必死に戦いを繰り広げた。



 1点ビハインドで迎えた八回裏、一死満塁から代打の谷が起死回生の逆転満塁ホームラン。谷にとってプロ入り初の満塁弾は、木村コーチにささげる大きな一発となった。