北半球では冬季五輪で南半球ではリオのカーニバル「一日に一度、体験もいいかもね」

南米最大の夏の祭典、ブラジルリオデジャネイロカーニバルは14日午後9時(日本時間15日午前8時)すぎ、市中心街のサンバパレード専用会場「サンボドロモ」で、優勝を競う精鋭12チームによるあでやかなサンバ行進が始まり、約6万2千人の観客を魅了、祭りは最高潮を迎えた。




 今回は、2016年の夏季五輪開催が決まってから初めてのカーニバル。1番手は、スペインの作家セルバンテスの小説「ドンキホーテ」をテーマにしたチーム。長さ約700メートルの会場に打ち上げ花火とともに入場し、主人公が巨人と思い込んで立ち向かった風車の山車などとともに、約3600人がカラフルな衣装で華やかな踊りを披露しながらパレードした。



 この日は、打楽器隊を先導する女王役に史上最年少の7歳の少女を選んだチームも登場。同チームをめぐっては性的なシンボル役に子どもは不適切との声が上がり、法廷論争にまで至った。



 1チーム3500〜4200人からなる12チームは6チームずつに分かれて2晩、約80分間の持ち時間で音楽とストーリー、山車の美しさなどを競って踊る。17日に審査結果が発表される



ポルトガル語カルナヴァルCarnaval)。カトリック謝肉祭のことで、カーニバル自体は世界各国のカトリック文化圏で行われている他、ブラジル各地でも行われている。もともとはポルトガルの謝肉祭エントルードがブラジルに渡ったものであるといわれる。リオのカーニバルは派手で規模が大きいので特に有名で、開催時期は世界各国からの観光客を集める。



復活祭イースター)を基準に太陰暦で日程を決めるため毎年開催日程は変動するが、だいたい2月の中旬から下旬になることが多い。



なお、カーニバルといえば真っ先にサンバが連想されるが、サンバ以外にもマルシャ(ブラジル版マーチ)やポルカなどもある。サンバの場合、ファンタジアと呼ばれる華やかな衣装を身に着け、サンバを踊り、打楽器隊などによる演奏や歌で行進する。4日間行われ、開催中は世界各国から見物客が集まる。いわゆるリオのカーニバルとして知られているのは、マルケス・ヂ・サプカイ通りにあるサンボードロモ(サンバ会場)で行われるコンテスト形式のパレードである。ここで行進するサンバチームエスコーラ・ヂ・サンバ(Escola de samba、直訳:サンバの学校)と呼ばれる。なお「学校」はジョーク名付けられたもので実際はリクリエーション団体の傾向が強い。そのため多くの団体はグレーミオ・ヘクヘアーチヴォ・エスコーラ・ヂ・サンバ、略称:G.R.E.S.(〜チーム名)と冠がつけられ、一般的にはチーム名で呼ばれることが多い。なお日本ではこれらを総称してエスコーラと呼ばれる。これらはリオ市や隣接する他の市に点在する地域を代表するサンバのコミュニティーである。



パレードはコンテスト形式になっており審査が行われる。有名なサンバ団体を挙げると、ポルテーラ、マンゲイラ、インペリオ・セハーノ、サウゲイロ、ヴィラ・イザベウ、ウニードス・ダ・チジュッカ、ウニアォン・ダ・イーリャなどで、どれも歴史的なサンバの名手(Sambista、サンビスタ)や名曲を生んだエスコーラである。他にも沢山のエスコーラが存在し順位や優勝を競っている。今日、世界に誇るリオ各地域の市民による手作り文化の結晶として光り輝いている。



リオのカーニバルは1959年公開のブラジル・フランス合作映画「黒いオルフェ」の背景舞台にもなっており、開催前の人々の準備ぶりや浮かれ具合、当時のカーニバルの様子などうかがい知ることができる。オルフェウ率いる架空のエスコーラもあれば、本物のカルトーラ夫妻やポルテーラ、マンゲイラ、インペリオ・セハーノもチラリと登場する。1999年公開のブラジル映画オルフェ」は現代のリオを窺い知ることが出来る作品。リオのカーニバルトップリーグ、Grupo Especialに出場するエスコーラのパレードテーマ曲集は毎年日本の輸入盤扱いのある大型CDストアなどでも手に入れることが出来る。カーニバル後にはその年の模様を収めたVHS(近年ではDVD)も発売されている。



なお、リオのカーニバルが観光化・商業化が進むと、それに嫌気をさしたりエスコーラの内紛などによりカンディアカルトーラメストリ・マルサルなどの著名サンビスタエスコーラを去ったケースも多い。またいくつかのサンバコミュニティーファベーラと呼ばれるスラム街に拠点があることなどから、賭博や麻薬取引との関係も指摘される。



また、カーニバル期間中はリオ・ブランコ通りなどをはじめ、各所でエスコーラより小規模であるブロコやコルダゥンと呼ばれる各チームがパレードを行う光景も見られる。