世界卓球日本女子が5時間の死闘の末韓国を破りアベックでメダル確定北京の借りをモスクワで返す

死闘5時間、壁越えた=天敵カット打ち抜く−世界卓球・日本女子

 試合開始からまもなく5時間。左腕を突き上げて、福原ベンチへ戻っていった。顔いっぱいの笑み。平野は顔を赤くして言った。「この壁を乗り越えないといけなかった。歴史をつくった」


左から石川 福原 平野
 韓国にはことごとく負けてきた。大きかったのがカットマン金◆(王ヘンに景)娥、朴美英の存在。2人が不在だった前回大会は勝てたが、復帰した北京五輪では2度負けた。福原は「相手の喜びの声を忘れることができなかった」。

 この日、トップで平野が朴と対戦。安定したカット打ちで粘り、機を見てたたく。相手の攻撃にもひるまず、3−2で競り勝った。朴に技術、戦術の幅で勝る金には平野、福原が敗れたが、3番手で若い石川が速攻の唐★(サンズイにえんがまえに入)序に大逆転勝ちして貴重な1勝を挙げ、勝負は福原と朴の一戦に。

 福原はバックでカットをさばき、球足が長くなったところをフォア強打。ミスを恐れず打ち抜いた。相手の攻撃もよく見てブロック。朴の焦りを誘い、流れをつかんだ。

 中国出身のカットマンを呼ぶなど、カット打ちでわき腹が筋肉痛になるほど韓国対策を重ねてきた。金に負けた2試合もフルゲーム。村上監督は「練習の成果が出たね」と目を細める。

 準決勝は中国戦。平野は「(きょうの)この一瞬は、今回だけでは終わらない」と言う。長年の重しが取れた日本が、思う存分、女王に挑む。

金◆娥(キム・キョンア)、朴美英(パク・ミヨン)唐★序(タン・イェソ)


 北京五輪の3位決定戦で敗れた雪辱を、モスクワの地で果たした。



 日本女子はライバルの韓国との5時間近い熱戦を制し、5大会連続のメダルを決定。福原は「北京五輪で韓国が勝った時の、キャーという声がずっと耳から離れなかった。絶対に勝つ気持ちだった」とうなずき、平野も「韓国の壁を乗り越えなきゃいけなかった。大きな自信になる」と喜びをかみしめた。涙はなく、全員が心からの満面の笑みだった。



 韓国の1、2番手はともに世界屈指のカット選手。打倒韓国のためにことしからカット専門のコーチを迎え、代表合宿でも大半をカット対策に費やす日もあった。その成果が出た。



 福原、平野は世界ランキング6位の金●(=日へんに景)娥に勝てなかったが、フルゲームで苦しめた。その2人が同11位の朴美英との試合を制したのが勝因だ。



 次は9連覇を目指す中国が相手。勝てば27年ぶりの決勝進出となる。


卓球の世界選手権団体戦第6日は28日、モスクワで準々決勝が行われ、日本女子(D組1位)は韓国(C組2位)を3―2で破り、準決勝進出を決めた。



 3位決定戦が行われないため、男子に続いて女子も銅メダル以上が確定。女子のメダル獲得は5大会連続、男女アベックメダルは2008年の前回大会に続いて2大会連続となった。



 日本女子は第1試合で平野早矢香ミキハウス)、第3試合で石川佳純ミキハウスJSC)が勝ち、第5試合で福原愛(ANA)が朴美英を3―1で下して接戦を制した。



 29日の準決勝は、男女ともに優勝候補の中国と対戦する。